衛星を利用した定置網漁業向け情報サービス ~衛星を利用した情報サービスの確立で、定置網漁業の効率化に貢献~

概要

登録日:
Oct 10, 2021

予測や情報に基づくスマート漁業の実現に向けた定置網漁業用の情報サービスであり、以下の3つのサービスで構成される。

①陸上から魚群の入網状況を確認できる「衛星魚探ブイ」

魚群探知機のデータを衛星通信で送信し、陸上の端末に表示させ、陸上から入網を確認して網起こしを行う。  ⇒ 水揚量の増加に貢献

②地球観測衛星データを利用した「魚群来遊予測」

過去10年分の水揚データと衛星観測データから機械学習を用いて個別漁場の来遊推定モデルを構築し、最大30日先までの特定の魚種の来遊時期を予測する。それにより魚種に対応した準備が可能となり、資源管理にも活用できる。

③高分解能衛星画像を利用した「網形状診断」

網と非網の画像特徴を学習し、教師データとなる画像との差異から、網形状の変化を可視化する。それにより、漁具の異常を検知して、被害を未然に防ぐ。(衛星から定置網を支えている浮きの位置を捉えることで、網全体の形状を推定。)

詳細

■リモートセンシング衛星データの活用方法

リモートセンシング衛星データについては、「魚群来遊予測」サービスにて、ひまわり8号、 GCOM-W、AQUA、Terra (温度、色)、Suomi-NPP(夜間集魚灯画像)を利用している。過去10年間の水揚げデータと衛星データ・数値予測モデルデータを用いて学習モデルを作成し、海洋数値予測モデルの入力により、30日先までの大漁・不漁時期を予測し、営漁カレンダーなどわかりやすい情報に可視化している。

その他にも、陸上から魚群の入網状況を確認できる「衛星魚探ブイ」サービスでは通信衛星を、高分解能衛星画像を利用した「網形状診断」サービスでは高頻度観測が可能な小型衛星および高分解能衛星を活用している。

■成功のポイント

・漁業者の「陸上から魚群の入網状況を確認したい」という要望に対応した。国内・国外問わず、陸上通信網が未整備な地域であっても、小型・軽量かつメンテナンスフリーの衛星魚探ブイによって遠隔で入網状況の把握が可能となり、操業の効率化に貢献できる。

・「魚群来遊予測」には、既存の衛星水産海洋情報サービス「トレダス®」*の運営ノウハウと北海道大学の海洋資源計測学の研究成果が活かされている。

・毎日更新する魚種別の来遊予測カレンダーは、番屋のTVモニタに自動配信され、特別な操作なしで予測情報を確認できる。魚種にあわせた網の準備や漁具の交換時期など、今後の漁の見通しを立てることに活用することができる。

・高分解能衛星画像による網形状診断情報は、「台風や時化による被害等で異常があれば、いち早く察知したい」という漁業者のニーズに対応した。設置漁具の形状変化を把握することで、漁具事故の未然防止・軽減化にも寄与できる。

■利用者やパートナーとの関係

■波及効果

・日本全国に定置網漁業の経営体数は5,100(2018年現在)存在し、今後の利用拡大が期待される。

・漁業において衛星データはますます身近なものとなっていくことが予想され、定置網だけでなく、その他の沿岸漁業においても宇宙インフラを活用した「客観データに基づく現状把握と将来予測」の技術導入が進み、今後の安定的な漁業経営には不可欠な技術となる。

その他

衛星水産海洋情報サービス「トレダス®」は衛星直接受信局を活用し、最新の海面水温や推定漁場情報等をかつお・まぐろ漁船に配信している。(登録5050974)

資料 : 内閣府グッドプラクティス集より引用

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